おすすめ映画−文芸
ビスコンティの映画は、最初に『家族の肖像』を観て以来、私のような感性の乏しい人間には理解できない世界だと、ずっと敬遠してました。その後何年か経ってからこの映画を観たのですが、しばらく恍惚状態になってしまう程の感動に浸ったことを覚えています。
生暖かい季節風が吹き、ねっとりと蒸し暑いベニスの夏。美しい水の都はコレラが蔓延する退廃的な街と化そうとしている。一方では気品あるホテルを舞台に、観光で訪れた、老いた孤独な音楽家、すらりとした美少年、優雅な貴婦人・・・、それぞれの人物を時にズームアップしながら、一貫してカメラはゆっくりと回っていきます。
映像には飾り気がなく、いくつものストーリー展開があるわけでもない。ただ主人公アッシェンバッハの老いの孤独さと、妖艶とも言える美しい少年タジオ、との対比が終始描かれています。そしてタジオに狂おしい程恋してしまう、死を間近に控えた男の美への執着とその儚さが、じっくりと伝わってきます。
さらにマーラーの音楽が実に高貴であり物悲しくもあり、アッシェンバッハ自身を、言葉より忠実に表現しているような気さえします。実際、アッシェンバッハのモデルはマーラーであり、ダーク・ボガードは彼の全作品を何回も聴いて役作りをしたそうですから、音楽から魂を吹き込む事で、主人公を見事に演じきったといえるでしょう。
ホテルの浜辺で、タジオの幻影を見ながら、若返りの化粧をしたまま死んでいくアッシェンバッハの姿を、ゆっくりと引きながら映画は幕を閉じます。観終わっても、何とも言い難い複雑な感傷の念が、余韻として残り続けます...


『ベニスに死す』 (DEATH IN VENICE) 1971年製作 伊 130分
【監督】ルキノ・ビスコンティ
【出演】ダーク・ボガード、ビヨルン・アンドルセン、シルバーノ・マンガーノ 他
Amazonを参照する
DVDレンタルでも借りれます
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生暖かい季節風が吹き、ねっとりと蒸し暑いベニスの夏。美しい水の都はコレラが蔓延する退廃的な街と化そうとしている。一方では気品あるホテルを舞台に、観光で訪れた、老いた孤独な音楽家、すらりとした美少年、優雅な貴婦人・・・、それぞれの人物を時にズームアップしながら、一貫してカメラはゆっくりと回っていきます。
映像には飾り気がなく、いくつものストーリー展開があるわけでもない。ただ主人公アッシェンバッハの老いの孤独さと、妖艶とも言える美しい少年タジオ、との対比が終始描かれています。そしてタジオに狂おしい程恋してしまう、死を間近に控えた男の美への執着とその儚さが、じっくりと伝わってきます。
さらにマーラーの音楽が実に高貴であり物悲しくもあり、アッシェンバッハ自身を、言葉より忠実に表現しているような気さえします。実際、アッシェンバッハのモデルはマーラーであり、ダーク・ボガードは彼の全作品を何回も聴いて役作りをしたそうですから、音楽から魂を吹き込む事で、主人公を見事に演じきったといえるでしょう。
ホテルの浜辺で、タジオの幻影を見ながら、若返りの化粧をしたまま死んでいくアッシェンバッハの姿を、ゆっくりと引きながら映画は幕を閉じます。観終わっても、何とも言い難い複雑な感傷の念が、余韻として残り続けます...
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『ベニスに死す』 (DEATH IN VENICE) 1971年製作 伊 130分
【監督】ルキノ・ビスコンティ
【出演】ダーク・ボガード、ビヨルン・アンドルセン、シルバーノ・マンガーノ 他
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観てない人、ぜひ観てくださ〜い
